【屋久島が世界遺産になったのはいつ？】決め手となった3つの理由を分かりやすく解説

屋久島が世界自然遺産として登録されていることは、結構多くの方が知っていると思います。

ですが、世界自然遺産に登録された理由についてはご存じでしょうか？

屋久島を旅行するなら、この理由について知っておくと、より屋久島への旅が楽しめると思いますよ。

この記事では屋久島が世界自然遺産に登録された理由について分かりやすく解説しています。

屋久島が世界自然遺産に登録されたのはいつ？

屋久島が世界自然遺産に登録されたのは1993年12月11。日本で初めて【白神山地】とともに自然遺産として認定されました。

屋久島全体の面積は504.29㎢。その約90％が森や山なので人が住んでいる沿岸部は、たったの10％しかありません。

島のほとんどが森や山で覆われた自然豊かな場所というのが分かりますよね。

そして島の面積の約21％にあたる107.47㎢が
世界自然遺産地域として指定されています。

屋久島が世界自然遺産に登録された３つの理由

世界的に特異な樹齢数千年のヤクスギをはじめ、多くの固有種や絶滅危惧種の動植物などを含む生物相を有するとともに。海岸部から亜高山帯に及ぶ植生の典型的な垂直分布が見られるなど、特異な生態系と優れた自然景観を有しているためと言われている。

屋久島が世界自然遺産に登録されたのには、以下の3つのポイントが評価されたからです。

このあと、それぞれの内容について詳しく解説していきます。

①日本の固有植物である『杉』の優れた生育地だから

意外に思いう方もいるかもしれませんが、スギは日本固有の針葉樹なんです。

日本ではあまりに多く見かけるので一般的に思いがちですが、海外では希少な植物。

世界的にも珍しい樹齢数千年以上の屋久杉が未だに多く残っていることから『屋久島が優れた杉の生育地』として認められたという訳です。

普通の杉の寿命は500年ほどと言われていますが、屋久島にはなぜ1000年以上にもなる巨大な杉が生育しているのか、疑問を持つ方もいるかと思います。

屋久島は花崗岩が隆起してできた島なので土が少ない上、土壌の栄養が乏しい場所です。

そんな山地に育つ屋久杉は成長スピードが遅く、植物の成長には、屋久杉は1000年以上もの間ゆっくりと成長していきます。

ゆっくり育つ屋久杉は、木の材質が緻密で樹脂分が多くなり、その結果腐りにくくなるのでその結果数千年もの間生育できるんです。

成長スピードは一般的な杉より遅いですが寿命が長いので、結果として屋久島の杉の方が巨木になると言えます。

屋久杉自然館では屋久杉の断面を見ることのできる展示物があります。年輪の間隔が狭く1年の成長がとても遅いことが確認できるので屋久杉自然館を訪れた際にはチェックしてみてくださいね。

≫屋久杉自然館がどんな場所か詳しく知りたい方はコチラ

②多くの人が暮らしながら豊かな自然環境を保持しているから

屋久島には多くの固有種や絶滅の恐れのある動植物が生育しています。

それにもかかわらず、多くの人が暮らしながら豊かな自然環境が保たれている点が、高く評価されたポイントです。

実際に訪れてみると、針葉樹林だけでなく、広大な範囲に「照葉樹林」が手つかずの状態で残っており、島全体が自然の宝庫であることがわかります。

古くから山を神聖視し、大切にしてきた山岳信仰の文化が根付いていることも、美しい自然環境が維持されている大きな理由の一つです。

③1つの島の中に幅広い植生が見られるから

屋久島は「洋上アルプス」と呼ばれるほど、海岸線と山岳地帯の標高差が大きい島です。

島の中央部には九州最高峰の宮之浦岳をはじめとした標高の高い山々が連なっています。

そのため島民が生活している里周辺は亜熱帯気候、そして島の中央部は亜寒帯気候と1つの島の中でも幅広い気候分布が存在します。

屋久島はよく『島一つが日本列島の気候の縮図』と言われていますが、その理由が【気候の垂直分布】です。

たとえば、里のある海岸線エリアは温暖な亜熱帯気候（屋久島）ですが、宮之浦岳周辺の山岳地帯は北海道のような寒冷な気候となっています。

この気候差により、屋久島には『亜寒帯』『温帯』『亜熱帯』といった複数の気候帯に適した植物が生育していて、これを【植物の垂直分布】と呼びます。

その結果として、屋久島には約1900種類以上の植物が生育し、そのうち80種類以上が島の固有種です。

この多様な植生が、屋久島が世界自然遺産に登録された大きな理由の1つになっています。

世界遺産登録されたエリアはどこ？

屋久島と聞くと「島全体が世界遺産」と思われがちですが、実際に世界自然遺産に登録されているのは屋久島全体の約21％、面積にして約10,747ヘクタールです。

これは島の中央部を中心とした原生的な森林地帯で、特に人の手が入っていない自然が多く残されたエリアが対象となっています。

登録されている主な地域

登録対象となっているのは、屋久島中央部に位置する山岳・森林地帯です。主なエリアは以下の通り。

• 宮之浦岳（標高1,936m／九州最高峰）
• 縄文杉エリア（日本最古級の屋久杉が存在）
• 花之江河（はなのえごう）や黒味岳周辺の高山湿原
• 太忠岳、石塚、永田岳などの山岳部

これらの地域は、屋久杉や照葉樹林・亜熱帯から亜寒帯に至る植生の垂直分布など、世界的にも非常に珍しい自然環境が広がっています。その独自の生態系が高く評価され、世界自然遺産として登録されました。

世界遺産に登録されていないエリアもある

一方で、西部林道を除いた島の沿岸部は世界自然遺産の対象外。ここには島民の住居がある集落エリアとなっています。

島の約9割が森や山で覆われている屋久島の中で、
その約1割にあたる沿岸部で人々が生活しているんですよね。

なんか・・「自然の一部を間借りして生活している」
そんな気持ちになります。

まさにこれが「屋久島の自然と人との共生」ですね。

● 登録エリアへのアクセスとマナー

世界遺産登録地域の一部は気軽にアクセスできるように
整備されているため多くの観光客が訪れます。

特に「縄文杉コース」や「白谷雲水峡」は人気の高いトレッキングコースです。

ただし、自然環境を守るために以下のルールやマナーを必ず守りましょう。

✅ゴミは必ず持ち帰る
✅歩道を外れて歩かない
✅動植物を傷つけない

これらを徹底することで、
屋久島の貴重な自然を未来へと残すことができます。

屋久島の特殊な自然環境をぜひ体感してください

『洋上のアルプス』や『東洋のガラパゴス』など、さまざまな呼び名を持つ屋久島。

その自然が、いかに独特で貴重な環境の上に成り立っているかを少しでも感じていただけたら嬉しいです。

屋久島の森を歩くと「人生観が変わる」とよく言われます。それほどまでに、自然の力強さや生命のエネルギーを肌で感じられる場所なんですよね。

ぜひ一度、屋久島を訪れてみてください。
世界自然遺産に登録されたこの特別な環境を、
あなたの五感で体感してみませんか？

おすすめ関連記事